茨城県境町と住友林業株式会社、一般社団法人協働プラットフォームは2020年8月24日、「災害時移動式応急仮設住宅」の開発で包括連携協定を結びました。
本協定に基づき境町の公園内に住友林業が下記画像のような「CLT combo(仮称)」1棟を建設、平常時はグランピングやテレワーク施設として利用、災害時には被災地へ解体せずにそのまま移設し応急仮設住宅として活用する計画です。今年の8月より着工し、9月30日には竣工予定です。
茨城県境町が移動式応急仮設住宅の可能性を追求し災害に強いまちづくりを目指す背景には、同町が利根川上流に位置し、利根川や渡良瀬川が氾濫した場合、町の約90%が浸水域、浸水人口95%と想定されているため町外への広域避難が必要となります。
このような災害特性を踏まえ、同町では木造や鋼鉄製コンテナなど様々なタイプの移動式応急仮設住宅の研究開発とその社会的備蓄に取り組んできました。
本件では住友林業が木造住宅で培った技術を用いて移動式応急仮設住宅の開発を担当、協働プラットフォームは災害専門家としてモバイルオフグリッド技術や応急仮設住宅の仕様など防災・減災に関する専門的な知見を提供して実現したプロジェクトです。
近年は台風や大雨による水害や土砂災害が頻発、また南海トラフ大地震や首都直下型大地震などの巨大災害の被害も切迫しています。
国の想定では南海トラフ地震では最大約205万戸の応急仮設住宅が、首都直下型地震では約94万戸がそれぞれ必要と推計されています。
2011年の東日本大大震災では、建設された応急仮設住宅は約4万9千戸でしたが、全ての仮設住宅の建設が完成するまで約8か月かかりました。
南海トラフ地震や首都直下型地震ではそれ以上の長い建設期間を要することは明らかであり、超長期の避難所生活による深刻な健康被害が想定されます。
このように長期化する避難生活の健康リスクを軽減する重要な対策の一つとして移動式住宅を利用した応急仮設住宅の社会的備蓄があります。
平常時は公園やキャンプ場などの施設、ワーケーションやグランピング等のレジャー施設、地域食堂などコミュニティのハブ施設として利用、災害時に災害救助法に基づく応急仮設住宅として被災地に移設することが期待されています。
*こちらの記事は住友林業株式会社のプレスリリースを元に作成しました。